TSMCが日本工場の建設を延期 ~米国拡張を優先

半導体関税の影響緩和を狙い、米国での生産体制強化を急ぐ

TSMCは、米国での製造拠点拡大を優先するため、日本で2番目となるチップ工場の建設を延期しています。

Wall Street Journal紙は、この計画に詳しい関係者の話を引用し、トランプ大統領が2期目の開始以来予告している、半導体への潜在的関税の影響を和らげることをTSMCが期待していると報じました。

TSMCは2024年2月、日本への200億ドルの投資計画の一環として、熊本に第2半導体工場を開設する計画を発表しました。

同月、同市に70億ドルの工場を開設しました。新たに発表した工場は2027年末までに稼動する予定で、自動車、産業、民生およびHPC関連用途向けに月産10万枚以上の12インチウェーハの総生産能力を持つと述べていました。

第2工場の着工は、2025年初頭に開始される予定でした。しかし今年の6月、TSMCの会長であるC.C. Weiは、同地域の自動車交通量が多すぎるため、若干の遅れが生じると述べました。

WSJ紙は、日本政府の担当者の話として、TSMCは交通問題を直接政府には報告しておらず、第2工場の生産開始日と計画生産量はほぼ変わらないと考えていると報じましたが、現在はさらなる遅れが予想されています。

トランプ大統領は以前、コンピューターチップや半導体の海外生産に「100%の課税」をすることで「生産を米国に戻す」と公約しました。それにもかかわらず、大統領はまだ半導体固有の関税を課していません。

同大統領の発言を受けて、2025年3月、C.C. Wei会長はホワイトハウスを訪れ、アリゾナ州フェニックスに工場を建設するために同社が行った既存の650億ドルの投資に加え、米国のチップ製造に1000億ドルの投資を行うことを発表しました。

トランプ大統領が最近可決した「Big Beautiful Bill」に基づき、2026年末までに米国内で新たなチップファブを着工する半導体メーカーは、35%の税額控除を受けることができるようになりました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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