Armは上場すれば「データセンターとPC」市場の優先順位が下がる、Nvidiaが主張

買収が失敗に終わりそうな中、規制当局を味方につけるための最後の試み

NvidiaはArmの買収がチップ業界に打撃を与える可能性があるとした規制当局に対し、Armが株式公開すれば状況は更に悪くなると反論しました。

2020年後半にArmの買収に合意したGPUメーカーのNvidiaは、英国競争市場庁(CMA)に対し、独立したArmはデータセンター分野にとって悪い影響を及ぼすと述べました。

CMAは2021年に、Nvidiaが競合他社に損害を与え、データセンター業界などの分野でイノベーションを阻害する力を与える可能性がある「重大な競争上の懸念」があるとして、この取引に異議を唱えています。

そうではない、とNvidiaは規制当局への一部修正された回答で主張しました。

「上場企業であるArmは、初期段階の収益事業に十分に投資する資金力を持たない可能性が高い」と、同社(自身も上場企業)は述べています。

「Nvidiaは、こうした圧力によってArmがデータセンターとPCの優先順位を下げ、代わりに中核となるモバイル事業と成長中のIoT事業に注力することを特に懸念しています。その結果、CPU市場は大部分がIntel/AMD(x86)に支配され、残りは[redacted]などの強力ではるかに収益性の高いArmアーキテクチャのライセンシーによって支配されることになるでしょう。」

また同社は、ライバルのIntelが半導体製造受託事業に参入することは、Intelがx86アーキテクチャのライセンスを計画していることを考えると、競争の激しさは変わらないと主張しました。

「x86のIPは、Armのすべての顧客が利用できる」とNvidiaは述べています。「Intelは、Armのデータセンター分野での狭い足場を直接狙っており、顧客がIntelのIPを使ってカスタムチップを作ることを可能にしています。Armの最も有名なデータセンター顧客であるAmazonは、すでにIntelのIFSの最初の顧客の1つに名を連ねています。その他にも数十社の顧客がすでにIntelと契約しており、Intel IPへの 『門戸を開き』、『Armに対する考え方に意味のある変化 』を起こしています。」

同社はさらに、「(CMAの)決定は、Intelのライセンスプログラムを否定し、下流の顧客がx86 IPを敬遠し、Intelとの協業を拒否することを示唆するものであります。経済的に不合理であることはさておき、それはIntelや、すでに関与している数十の顧客にとっては驚くべきことでしょうう。」

英国の規制当局は「いかなる形の行動的救済も、特定された競争上の懸念に対処するとは考えられない 」とした上で、現在買収案についてより深い調査を行っているところです。

昨年10月、欧州委員会はこの買収について 『詳細な調査 』を開始しました。ECのマルグレーテ・ベスタガー副委員長は当時、「我々の分析では、NvidiaによるArmの買収は、ArmのIPへのアクセスを制限または低下させ、半導体が使用される多くの市場で歪な効果をもたらす可能性があります」と述べています。

中国の規制当局もこの取引を評価しています。

最も大きな問題は、12月に米国連邦取引委員会が、データセンター業界のイノベーションを阻害するとして、この買収を阻止するために提訴したことです。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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