AWSが第2世代Armベースのサーバ用チップを設計
Amazon Web Services(AWS)は、Armアーキテクチャに基づく、より強力な第2世代のサーバ用チップを設計しました。
ロイターのレポートによると、新チップは昨年リリースされた初代Gravitonよりも少なくとも20%の高速化が実現されるようです。このチップは、2015年にAmazonが3億5,000万ドルで買収したチップメーカーのAnnapurna Labs社によって製造されています。
より速く、より安く
AWSは以前、「AWS Gravitonプロセッサを搭載したコンピューティングインスタンスは、同等のx86ベースの仮想マシンよりも最大45%安い」とコメントしていました。その後の事例報告では、一定のワークロードに対して最大40%のセーブが示されました。
今後のAmazonチップは、Gravitonで採用されている古いCortex A72設計は回避され、新しいNeoverse N1設計が採用される可能性が高く、Gravitonの16に対して32コア構成になると予想されます。
また、この新しいチップには、他のチップと接続して画像認識などのタスクを高速化できる新しい「ファブリック」のサポートも組み込まれる予定であるとの報告があります。これは、おそらくマルチCPUシステムの事であると思われます。事実Armは、単一サーバで最大64個のNeoverse N1 CPUを搭載するリファレンスデザインを提供しています。
Armを採用しようとしているのはAWSだけではありません。先月、HuaweiはArmベースのAtlas AI-centricのチップとKunpeng 920ジェネラルプロセッサに基づく新製品を発表しました。また、KunpengやAscendプロセッサを実装するHuawei Cloudプラットフォーム上での数多くのサービスも発表されています。
Huaweiには、Armベースチップの採用の倍増が期待されています。それは同社がIntelとAMD(どちらも米国企業)のx86プロセッサへの依存から脱却する必要があるためです。英国に拠点を置くArmはその代替品になる可能性があります。
Armベースのサーバ開発への挑戦は、過去それを断念した多くのスタートアップ企業で溢れており、Qualcommなどの大企業でさえその努力を諦めました。しかし、今回AWSが必要なソフトウェアスタックをカスタマイズしArm搭載サーバを実現した事で、同社はArmチップを今後展開していく上での良いポジショニングの確保に成功したと言えるでしょう。
ただし、AWSが完全にArmベースのチップに切り替わる可能性はほぼありません。IntelやAMDのサーバ向けチップはそれよりはるかに強力で、より多くのワークロードとの互換性もあるためです。しかし、価格が最も重要視される低パフォーマンスのワークロードのようなニッチな用途の代替としては機能し、またAmazonが既存のチップメーカーに対する価格交渉の際の交渉材料としても役立つでしょう。
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