
富士通が自社開発CPUを採用した富岳NEXTスーパーコンピュータの設計
システム設計契約は2026年2月まで継続予定
富士通は、スーパーコンピュータ「富岳」の後継機「富岳NEXT」の設計契約を受注しました。
日本理化学研究所の現行システムと並んで設置される予定で、契約には計算機ハードウェアが含まれ、基本設計フェーズは2026年2月末まで続く予定です。
富士通は、省電力型CPU「FUJITSU-MONAKA」を開発中で、2027年のリリースを予定しています。同社は、このプロジェクトから生まれた技術が富岳NEXTの基盤となると説明しています。
2nm技術を採用したFUJITSU-MONAKAチップは、GPUや他のアクセラレーターと統合され、高度な3Dパッケージングと超低電圧回路動作に最適化されたマイクロアーキテクチャを採用しています。同社は昨年、Arm CPUとAMDのInstinct GPUを組み合わせる計画を発表しました。
富士通は、仮称「FUJITSU-MONAKA-X」CPU(オリジナルFUJITSU-MONAKAチップの後継モデル)が富岳NEXTの基盤となることを明言し、システムが「既存の富岳アプリケーション資産を継承・加速するだけでなく、増加するAI需要に対応するため、最先端のAI処理加速機能を搭載する」と説明しています。
この次世代CPUは、社会と産業を支える多様な分野での広範な応用を目的としており、富岳NEXTにおける役割を超えた展開が予定されていると同社は説明しています。
富士通のシステムプラットフォーム担当CTOであるVivek Mahajanは、次のように述べました。「富岳NEXTプロジェクトの一員として、日本の科学技術分野に革命をもたらすこの取り組みに参加できることを大変嬉しく思っています。」
「富士通は、富岳での貴重な経験とFUJITSU-MONAKAおよびFUJITSU-MONAKA-Xの先端技術を活かし、顧客のニーズに柔軟に対応できるシステムを構築します。」
「多様なパートナーシップを築くことで、社会と産業が成功するために必要な強力な計算インフラを提供します。さらに、このプロジェクトで培った専門知識を、次世代のニューラルプロセッシングユニット(NPU)やその他の高度なAIプロセッサの開発に活かし、日本発の技術世界をリードし、ビジネスと社会におけるAIの採用と加速を推進していきます。」
2020年に初めて導入された442.01ペタフロップスのArmベースの富岳は、その年の6月のTop500リストで最も強力なスーパーコンピュータの首位にランクインしました。
最新のリストでは、富士通製のシステムは、米国エネルギー省が運営する3つのエクサスケールシステム、2つの欧州のスーパーコンピュータ、およびMicrosoft AzureのEagleに続き、7位にランクインしました。
富岳の後継機は、2024年8月に文部科学省(MEXT)によって初めて発表され、当時政府はこれが世界初のゼタスケールスーパーコンピュータになると主張していました。
しかし、このスーパーコンピュータが目指すゼタスケールピーク性能は、AI性能に関するもので、FP8(8ビット精度計算)で測定されます。一方、伝統的な計算性能は、FP64(ダブル精度計算)で測定され、大規模システムにおける業界標準となっています。
例えば、FP64性能で100ペタフロップスを誇るシステムは、FP8性能で100ペタフロップスを達成したシステムよりも高性能です。
しかし、文部科学省が以前に発表した計画文書によると、富岳NEXTが計画通り構築されれば、提案されたシステムの各ノードは「数百」テラフロップスのFP64性能のピーク性能を有し、合計でエクサフロップスの性能に達する可能性があり、これにより日本は再び世界最速のスーパーコンピュータを保有する可能性があるとされています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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