
英国内務省、警察国家データベースのクラウド移行を中止
コードの80%がクラウド環境では使用できないことが判明
英国内務省は、技術的な問題、遅延、コスト増加を受け、警察国家データベース(PND)のクラウド移行計画を断念しました。
The Registerの報道によると、PNDは今後「事業者のデータセンター」から英国内務省のデータセンターへ移設されるとのことです。
現・財務省の影の財務担当次官(Shadow Financial Secretary to the Treasury)であるGareth Daviesから、下院議員のDame Karen Bradleyに宛てた書簡には、このプロジェクトが頓挫した経緯が詳しく記されています。
PNDを移行するプログラムは、同データベースが国家法執行データプログラムから分離された2021年に設立されましたが、実際の作業が開始されたのは2024年1月でした。Daviesによると、2025年5月までにこのプロジェクトには約3,510万ポンド(4,777万ドル)が費やされていました。
2021/22年度から2025/26年度までの総コストは、1億4,660万ポンド(1億9,954万ドル)に達しており、これには稼働中サービスの運用・維持・保守に加え、「継続的な改善の要素」が含まれています。
このプログラムの目的はPNDをクラウドへ移行することで、技術的負債を削減し、PNDの耐障害性を向上させるためでした。しかし、Gareth Davieによると、当初はコードの約80%が再利用可能と想定されていたものの、この前提は誤りであるようです。
彼は書簡の中で、次のように述べました。「実際には再利用可能だったのは20%に過ぎず、大幅な追加時間と資金がなければ、2025年6月の目標達成は不可能になるでしょう。サポート契約は2026年3月に期限切れとなり、これ以上の直接契約も見込めないなかで、プログラムは代替案を検討しましたが、継続は費用対効果に見合わないという結論に至りました。」
サプライヤーが提示した「緊急時対応策」では、約2600万ポンド(3540万ドル)の追加費用と、15~18ヶ月の納期遅延が見込まれていました。
今後、PNDは「サプライヤーのサイトから、英国内務省のデータセンターへ移行することになっています。この移行は、綿密な調査と計画、経験豊富なチーム、そして過去の移行経験に基づく堅牢なガバナンスによって支えられています。また、既存インフラの老朽化と複雑性により一定の混乱するリスクは残るものの、対策は講じられており、関係者には継続的に情報共有が行われます。既存環境の延命に伴うリスクに対応するため、警察関係者および英国内務省の法務・商務部門の意見を取り入れた選択肢が策定されています」としています。
Daviesは、今後このプログラムはオンプレミス環境のPNDの強化に注力すると記しています。安定化にかかるコストは約2,030万ポンド(2,763万ドル)と見積もられており、年間の運用・維持費は約2,400万ポンド(3,270万ドル)になる見込みです。
これらのアップグレードにより、今後5〜10年のサービスの維持が期待されています。ただし同氏は、「PNDシステムの長期的な戦略的方向性はまだ決定されていない」と指摘しています。
警察国家データベースとは別に、警察国家コンピュータ(PNC)は現在、ロンドン警視庁の訓練施設にあるHendon Data Centreからクラウドへの移行を進めています。
英国内務省は今年初めに、データセンター管理のパートナーを募集するため「予備的市場調査通知」を発表していましたが、内務省のデータセンターの詳細については明らかにしませんでした。
なお、英国内務省は2023年にAmazon Web Services(AWS)とクラウドコンピューティング契約を締結しており、その契約規模は当時5億6,864万ドルとされています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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