Alibaba Cloud、必要な計算能力は2022年の10倍必要とCEOが発言

Tencent CloudはGPUからのROI創出に苦戦

Alibaba Cloud(アリババクラウド)のCEOであるEddie Wuは、5月13日に開催された2026年度第4四半期の決算説明会で、同社が2022年に運用していた水準の10倍にあたるデータセンター容量へ拡大を目指していると明らかにしました。

このインフラ拡張の発表は、同社のクラウドおよびAI事業が好調な収益を記録したことを受けたものです。

同四半期において、Alibaba(アリババ)のCloud Intelligence Groupの売上は60億3500万ドルに達し、前年同期比で38%増となり、外部顧客からの収益は40%増加しました。

一方、競合のTencent Cloudは自社の決算説明会で、モデル学習におけるGPUの活用について、現時点では「将来に向けた投資」であるとの認識を示しています。

アリババはAIを強化

アリババのAI関連サービスは特に好調で、約13億ドルの売上を計上し、前年同期比で3桁成長を11四半期連続で達成しました。これは、Cloud Intelligence Groupの外部収益の30%を占めており、同社は1年以内にこの割合が50%を超えると見込んでいます。

こうした状況を踏まえ、設備投資(capex)、運用費(opex)、およびインフラ構築に引き続き積極的な姿勢を維持しています。

CEOのEddie Wuはアナリストに対し、次のように述べています。「基本的に、AIモデルの爆発的な成長が始まる前の2022年と、2033年に必要になると見込んでいる量を比較すると、約10倍データセンターインフラが必要になります。このコンピューティング能力を確保する方法はいくつかあり、一部は設備投資で対応し、一部は運用費で賄うこともできます。実際に現在、運用費を利用してかなりのコンピューティング能力を調達しています。」

さらに同氏は、アリババが自社のT-Headチップ部門を通じて、「これらのチップを活用したAIサーバーを他の計算センターに販売することもできるし、他社と共同で計算センターを構築することも可能だ」と述べました。

同社は四半期末時点で約380億ドルのネットキャッシュを保有しており、満期まで5年以上ある債務を除くと、ネットキャッシュは約590億ドルに達します。経営陣は、この財務基盤が成長投資を継続する自信につながっていると述べています。

また、決算説明会ではアリババの自社開発チップに大きな注目が集まりました。Eddie Wu CEOは冒頭の挨拶で、同社のGPUが「大規模な量産段階に到達した」と述べ、現在ではコンピューティング能力の60%が外部顧客向けに提供されていると説明しました。

さらに、「自社開発のAIチップを大規模に提供できる中国唯一のAIクラウド事業者として、当社はコンピューティング資源のサプライチェーンにおける自律性を確保するとともに、顧客に対して競争力の高いAI推論および学習サービスを提供しています。コンピューティング資源が不足している環境において、この構造的な優位性は当社の売上の成長と粗利益率の改善に寄与します」と付け加えました。

こうした自社開発チップはアリババにとって強みである一方、Eddie Wu CEOはチップやメモリの生産能力に影響を与える「物理的な制約」が存在すると指摘しました。

同氏は、次のように予測しています。「アリババクラウドの強みは、顧客ベースの規模と、これまでの数年間に投入してきたすべての設備投資による規模の経済効果です。しかし、市場が供給不足の状態において、今年新たなサーバーを1台導入するコストは、1年前の2倍になっています。コスト上昇率は100%を超えています。このような更新コストの上昇により、新規顧客および既存顧客に対して、当社は一定の価格決定力を持っています。長期的には、資産価格の上昇は今後の売上にプラスに働くと考えています。今後2~3年の間にアリババクラウドの粗利益率は大幅に上昇すると見込んでおり、その兆候は今後1~2四半期以内に現れ始めるでしょう。」

同社のクラウド事業のその他の主要指標として、EBITAは5億5000万ドルとなり、前年同期比で57%の増加となりました。

TencentはGPUを自社利用に優先

直近四半期において、両社のAIおよびクラウド戦略は著しく対照的となりました。Tencentの経営陣は、GPU群の大半を社内利用に優先的に割り当てる方針を採っていると説明しています。

TencentのCSOであるJames Mitchellは、同社が開発中のさまざまなAI製品のバランスをとるためのアップローチについて、次のように述べました。「実際には、Tencent Cloudよりも多くの社内サービスを優先するという選択を既に行い、その代償を払っています。クラウド事業を展開する大手ハイパースケール企業の多くは、大量のGPUを割り当てている、社内の代表的なユースケースを1つ持っていると思います。当社にはそのような代表的なユースケースが複数あります。当社がこれらすべてを同時にサポートできている理由は、Tencent CloudでGPU容量のリースに積極的に取り組んでこなかったからです。」

「今年後半にかけて、中国製GPUの供給が徐々に増加すれば、この状況は改善され、Tencent Cloudで利用可能な容量を増やし、結果としてTencent Cloudの拡張ペースも加速していくでしょう。つまり、社内で複数のAIイニシアチブを同時に支援してきたため、Tencent Cloudを通じてAIの機会を収益化することに意図的に遅れをとってきたというトレードオフが生じているのです。」

投資回収期間についてMitchellは、広告技術(ad tech)にGPUを投入する場合は、比較的短期間で回収できる一方で、「自社の事業にとって重要」と位置付けるHunyuan基盤モデルの学習にGPUを導入する場合は、より長期的な視点で考えていると説明しました。

こうした状況の一因として、GPU不足が挙げられています。これによりTencentは、社内利用と外部提供のどちらを優先するか選択せざるを得ませんでした。しかし同社は、中国製ASICが「年間を通して月ごとに」入手可能になることから、設備投資の増加の見通しについて、より肯定的で確信を持っていると述べています。これは、同社がチップ調達の制約により設備投資の削減を継続的に報告していた2025年とは大きく異なります。

Tencentの直近四半期の設備投資は46億9000万ドルとなり、前年同期比で16%増加しました。

Mitchellはその後、同社が現在米国のハイパースケーラーが直面しているようなCPUやネットワークチップの制約を受けていないと指摘しました。

Tencentは提供サービス別に売上内訳を公表していません。同社の総売上は1965億人民元(約289億4000万ドル)で、2025年第1四半期と比較して9%増加しました。また、粗利益は1113億人民元(約163億9000万ドル)で、前年同期比11%増となりました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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