Huawei、ロシア・モスクワにArmベースのデータセンターを開設

インテルもx86も必要としないことをアピール

Huaweiは、モスクワのオフィスにArmベースのデータセンターを開設しました。これは同社のインテリジェント・コンピューティング・システム部が建設したもので、このような施設はロシアでは初めてだといわれています。

このデータセンターは、同社の子会社であるHiSilicon社が開発したKunpeng 920プロセッサを採用したArmベースのTaishanサーバーへのアクセスを現地の顧客に提供するために設計されました。

同社とロシアの科学・学術コミュニティは、オープンソースソリューションとスーパーコンピューティングの開発を最適化するためにこの施設を利用しており、新施設の建設は 「ロシアでソフトウェア製品を開発するという同社の意図を示すもの 」としている。

Huaweiロシアのインテリジェント・コンピューティング・システム・エキスパート、ニキータ・ソロダンは以下のように述べています。「このコンピューティング・クラスタによって、当社のパートナーや顧客がソフトウェア製品をテストし、新しいオープン・エコシステムの構築に参加できます。このデータセンターの試運転前には、機器の配送や顧客のサイトへのサーバー導入にリソースを割かなければなりませんでしたが、今では実質的に時間の遅れなく、リモートアクセスとローカルアクセスの両方を提供することが可能です。」

モバイル分野ではArmプロセッサが主流ですが、データセンター分野でx86アーキテクチャに代わるものを提供できるとHuaweiは述べています。また、例を挙げるとAmpere富士通マイクロソフトなどもサーバー市場向けにArm CPUを開発しています。

Huaweiロシアのインテリジェント・コンピューティング・システム部門ディレクターLiu Yuは 「高性能Armコア は、ビッグデータ、仮想化システム、データベース、ストレージシステムなど、数多くの並列計算を行うタスクだけでなく、それ以外のタスクでも実力を発揮しています。テストの結果、多くのシナリオにおいてArmサーバーはx86アーキテクチャーをベースとしたソリューションと完全に競合できることがわかりました」と述べています。

ロシアの国有機関では、米国製のプロセッサやソフトウェアの採用を避ける傾向があります。最近の技術発表会では、ロシア鉄道が「国産」のソフトウェアとハードウェアを使用して業務を行うことを発表しました。

生産管理に使用するITソリューションはすべてロシア製 で、国内の開発者が輸入に依存しないソフトウェアを使用して作成したものです。また、すべての従業員用ワークステーションに国産のマイクロプロセッサElbrus(Elbrus 2000、x86)とBaikal(MIPS、Arm)搭載するよう細心の注意を払ったといいます。

Huaweiは2019年に「Kunpeng 920」プロセッサを発売しました。インテルなど米国で開発されたチップを調達できない制裁措置を克服するため、Armネイティブアプリケーションの開発を支援するために15億ドルをコミットしています。また同社は先月、モスクワのSitronics社と協力して国内のローカライズ要件を満たすハードウェアを開発すると発表しました。

しかしArm社は米Nvidia社に買収されている最中であり、これが問題を複雑にする可能性もあります。

Huaweiは、TSMCが米国の圧力を受けて同社を排除した後、チップの製造にも苦戦しています。発注の大半は後発の中国企業であるSMICに移しましたが、SMICも制裁措置を受け、半導体開発に必要な設備を手に入れることができなくなりました。

Kunpeng 920プロセッサはTSMC製の7nmプロセスノードの製品ですがSMICは14nmの製造能力に近づいているに過ぎません。ロシアに設置されたサーバーは、同社が制裁前に密かに備蓄していたチップで作られた可能性もあります。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。