富士通、当面英国政府との契約入札を「自主的に」見送り

郵便局 Horizon ITスキャンダルへの関心の再燃を受けて

英国のAlex Burghart(アレックス・バーガート)内閣府大臣は、富士通から政府契約の入札を当面見合わせるとの報告を受けた模様です。
 
Burghart大臣によると、これには既存契約の延長は含まれない、との事です。
 
この発表は、Horizon(ホライゾン)ITスキャンダルに再び注目が集まった直後のことです。Horizon ITスキャンダルは、「(富士通が納入した)Horizon会計システム」の不具合が原因で、700人以上の郵便局長が窃盗の嫌疑をかけられ、誤って刑事訴追された(うち93人は訴追が取り消された)事件です。その多くは、盗んでもいない資金の返済を余儀なくされていました。
 
さらに郵便局は2023年、富士通が提供するHorizonソリューションからのクラウド移行に失敗し、3,100万ポンド(3,943万ドル)を無駄にしています。
 
しかし、富士通は2023年11月に3600万ポンド(4580万ドル)で契約延長しており、郵便局のHorizon契約の再延長を拒んでいるわけではありません。
 
それでも、どこかの時点で、富士通は郵便局長らへの補償について改めて発表すると見られています。同社は1月16日、議会の委員会に対し、富士通には道義的義務があるとして、調査委員会がどのような勧告をしようとも補償スキームに貢献していくと述べていました。
 
TechMarketViewによると、2023年には富士通の英国での売上(郵便局を含む)の大部分(約70%)は公共部門からのものでした。政府契約の入札から手を引くことは、同社に大きな影響を与える可能性があります。
 
尚この一連の事件は、NHSのIT化計画をめぐって富士通と政府との間で法的紛争が発生し、契約変更をめぐって争った末に契約を打ち切られ、同社が英国の医療セクターから撤退してからわずか数年後のことです。
 
その際、富士通は政府を7億ポンド(現在の9億9000万ポンド、12億6000万ドルに近い)で提訴し、最終的に2018年に同社が多額の(しかし非公開の)金額を受け取ることで終結しました。富士通が医療セクターに復帰したのはつい最近のことです。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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