Muon Space、最大100kWの演算能力を備えた軌道プラットフォーム「Condor-Ultra」を発表

昨年発表モデルの100倍の性能を持つ新たな軌道データセンター衛星を公開

宇宙関連スタートアップ企業であるMuon Spaceは、軌道データセンター向けの新型衛星の設計計画を明らかにしました。

同社は最近、2028年に先駆的な実証ミッション(パスファインダー・ミッション)の引き渡しを予定している「Condor-Ultra(コンドル・ウルトラ)」を発表しました。これは「(SpaceXが持つ)スターシップ級の衛星プラットフォーム」と表現され、「軌道データセンターの要求を満たす熱設計およびネットワーク・アーキテクチャ」を提供するものです。

Muon SpaceのCEOであるJonny Dyerは、声明で次のように述べました。「世界的な通信ネットワークから、規模を拡大したリモートセンシング、分散型の軌道上コンピューティングにいたるまで、今後10年間で最も注目される宇宙インフラミッションには、高性能でスタッカブル(積み重ね可能)、かつコスト効率がよく、拡張性を備えた管理・統合済のプラットフォームが必要になります。」

Condor-Ultraは、20kWの電力、Starlinkを介した25Gbpsの接続性、18平方メートルの対地(地球側)ペイロード面積を提供することで、顧客の「電力、アンテナ開口部、データ要件」を満たすペイロードをサポートします。サポートするペイロード重量は400kgで、「数百から数千の衛星からなるコンステレーション」に対応可能です。

Muon SpaceはCondor-Ultraについて、「SpaceXのスターシップによる積み重ねて大量配備(マス・デプロイメント)を行うのに最適化されている」と説明しています。また、「より高出力のバリエーション」として最大100kWの出力が可能になると仕様を記しています。

Muonは2025年10月に、Starlinkの小型レーザー端末を統合する方針を示し、SpaceXとの関係を強化しはじめました。競合する別の宇宙スタートアップも今月初めに同様の取り組みを発表しています。

同社は、宇宙でのAI推論向けに設計されたNVIDIAのSpace-1 Vera Rubinモジュールを自社プラットフォームに統合する点も強調しています。複数の企業と共同で実施した「軌道上の大規模AIインフラ」に関する実証研究を通じて、次世代の軌道データセンターに必要な技術および運用要件に関する深い専門知識を有していると強くアピールしています。

高出力のサテライトバス(衛星の基盤となる機体部分)をペイロードなしで製造するというアプローチは、軌道データセンターの熱狂期におけるいわば「つるはしとシャベル(訳注:ゴールドラッシュで鉱夫に道具を売って確実に儲けるビジネス)」の戦略にも例えられます。これは、宇宙でのコンピューティング容量そのものの販売には踏み込まず、軌道データセンターを載せるための基盤(巨大な太陽光パネルを含む)を丸ごと販売するビジネスモデルを選択しています。

2024年、Muonは宇宙開発庁(SDA:Space Development Agency)のHALO(低軌道拡散型ハイブリッド調達)プログラムに採択されました。このプログラムは試作契約を与えるもので、主に同庁の「拡散型戦闘員宇宙アーキテクチャ(PWSA:Proliferated Warfighter Space Architecture)」を対象としており、「ペイロード、処理能力、通信、軌道衛星技術の革新を含む新興技術の軌道上での迅速な開発・打ち上げ・実証」を可能にします。MuonはこのHALO関連の開発のため、顧客から6000万ドルを受け取りました。

翌2025年には、Muonは500kg級の低軌道向け「多目的バックボーン」であるMuSat XLプラットフォームを発表しました。これはマルチペイロードの運用と「極めて高いデータ処理能力」を可能にするもので、平均1〜4kWのペイロード電力を提供します。従来、静止軌道(GEO)空間こそが大型衛星が統合ペイロードや、ソフトウェア定義型アプリケーションを搭載し顧客を切り替えて利用する場所でした。

MuSat XLの発表時には、宇宙版Bluetoothの構築を目指す別のスタートアップ企業であるHubble Networkが、同プラットフォームの最初の顧客であることも明らかにしました。

当時Jonny Dyerは、「XLは単なる大型のサテライトバスではありません。Hubbleのように軌道上で可能性の限界を押し広げる顧客を真に支援する基盤です」と強調しました。

XLプラットフォームは、2027年の打ち上げが予定されています。Condor-Ultraはその設計を大きく上回る(リープフロッグした)仕様となっていますが、詳細や実現性についての情報はさらに限られています。同社がどのようにして20kWの電力を供給するのか、また「熱アーキテクチャ」の具体的な内容は明らかにされていません。

Muon Spaceの社長であるGreg Smirinは、Condor-UltraがMuSat XLの約3倍の重量になると説明し、顧客は「すでに契約を締結している」としながらも社名は公表していません。

同社は、2021年に気候監視用衛星コンステレーションを構築するために設立され、2023年には最初の気候観測衛星MuSat-1を打ち上げました。この時点での総調達資金は約3500万ドルでした。

2025年には、米国宇宙軍がMuonに対し4460万ドルを拠出し、「軍民両用のデュアルユースの環境モニタリング」実証を委託しました。同社はこの機能について「国防総省にとって重要な気象情報ニーズ」に対応するものだと説明しています。

同社は、カリフォルニア州サンノゼに新工場を6月後半に開設する予定で、生産能力を10倍に拡張し、年間500基の衛星製造を目標としています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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