OVHcloud、2021年末までのIPOを正式に発表

フランスのOVHcloudが、パリのユーロネクスト証券取引所に上場する意向を正式に表明しました。

このニュースは、6月14日(月)にOVHcloudから発表されました。株式公開は年内に行われる予定で、その日程はまだ確定していませんが、ユーロネクストの手に委ねられています。OVHcloudは、いくらの資金調達を見込んでいるかについて明らかにしていませんが、創業者であるOctave Klaba氏の家族が会社の過半数の支配権を維持していくとDCDに伝えています。

クラバ家が経営権を保持

OVHcloudは1999年に設立され、ヨーロッパで唯一の大規模な「垂直統合型」クラウドプレイヤーであり、クラウド最大手であるAmazonやMicrosoft、Googleと同様、独自のラックやサーバーを構築し、液冷などの独自の技術を採用しています。同社の収益は、過去10年間で平均20%の成長を遂げています。現在、同社は世界各地に30のデータセンターを持ち、そして創業者であるOctave Klaba氏の家族が完全に所有しています。

ストラスブールにあるSBG2データセンターが火災で焼失し、同じ敷地内にある別の施設も使用不能になってしまった数日前の3月初旬に、同社はIPOに向けたプロセスを開始していました。

同社は火災事故発生後の3月以降、同社は顧客のサーバーやデータを可能な限り復旧させるプロセスを経て、火災研究ラボの設置を約束しながらも、IPOの実施を維持しています。火災の原因についての最終報告は、IPO実施後の2022年になってから発表される形になりますが、OVHcloudは、フランス政府を含む当局や保険会社が関与しているために遅れているとしています。尚、この火災事故に先立つ1月に、OVHのルーベーのデータセンターで行われた検査で、バッテリールームに十分な防火対策が施されていないとする指摘事項があった事が判明しています。

今回のIPOは、今後さらに急成長する市場の中で、OVHcloudが開発と成長を続けていくために必要なもので、また、データを国内に保存することでプライバシー問題に対処しようとする圧力が高まっているヨーロッパに強くフォーカスしていることも明らかになっています。

OVHcloudのスポークスマンは、DCDに対し次のように語っています。「我々はこれまでのように成長を続けることができるが、データ主権に関する全体的な勢いは深い波である。ヨーロッパにおけるクラウド市場は、2030年までに通信事業者を追い越すと予想されている」

プレスリリースの中で、CEOのMichel Paulin氏は、この動きはOVHcloudの新データセンターに向けての資金をもたらし、新たな地域への参入や、新しいサービスの提供に繋がるとし、この市場は 少なくとも5年、10年、15年は2桁台の成長が見込まれるだろうと述べています。

Octave Klaba氏は今回のIPOで利益を得る見込みだが、調達資金はKlaba氏が保有するもう一つのベンチャー企業であるゲーム会社Shadowには一切投入されないとOVHcloudはコメントしています。「Octaveは今、VCになっている。彼がShadowを引き継いだのは、会社の状態が悪かったからです。彼の野望は、教育やトレーニングなどの上層への投資です。Octaveは先見の明があるので、もっと大きなプロジェクトと連携させたいと考えているようだ」

Data Center Dynamics

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