NvidiaがArm買収に関心
ソフトバンクのAppleへのアプローチは、最終的には成立せず
Armは現在売りに出されており、Nvidiaが買収を検討していると見られています。
Armは2016年にソフトバンクに320億ドルで買収されましたが、現在、ソフトバンクはGoldman Sachsを通じて、同社の株式上場(IPO)、あるいは完全なる売却を検討しています。
異なる事業モデル
ブルームバーグの報告によると、ここ数週間、NvidiaはArmにアプローチし事業の買収について議論していると言います。
独自チップの開発・販売を行うNvidiaとは異なり、Armはライセンス契約に依存しています。その設計はQualcomm、Apple、Amazonなどの企業に販売され、彼らは、それに自社の設計を追加し、独自製品を開発しています。
このアプローチでは、販売されたチップあたりのArmの収益は大幅に少なくなりますが、最終的にはより多くの製品が得られます。現在では、実に1,300億以上のArmプロセッサが、スマートフォン、IoTデバイス、ネットワークプロセッサなどで採用されており、世界で最も広く使用されている命令セットアーキテクチャになっています。
同社が参入に苦労してきた分野の1つは、データセンターサーバ向け市場です。Armはデータセンター施設内の他の場所では採用されていますが、多くのサーバのコアCPUは、歴史的にIntelのx86チップが占めてきました。最近、AMDのEpyc CPUが普及しましたが、それもx86系製品です。
今年の夏だけで、ArmベースのA64FXプロセッサを搭載した世界で最も強力なスーパーコンピュータ(富岳)のデビューや、NXP Armチップを搭載した新しいArmサーバー(Bamboo Systems)、128コアのAmpere Arm CPUの発表が相次ぎ、x86支配の状況が崩れる兆候がみられます。業界の多くが信じる最も有望な動きは、Amazon Web Serviceの取り組みです。そのGravitonプロセッサは、それ自体も比較的強力ですが、Armチップ競合各社は、それがチップアーキテクチャの安価なテストを実現し、またソフトウェアサポートに関する強化ができると期待しています。
昨年、命令セットは別の大きな勝利を収めました。Nvidiaは、AIとHPCソフトウェアの完全なスタックをArmエコシステムで利用できるようになると述べました。
「Armとは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)とデータセンター領域についてより広い意味で興味深い会話をしてきた。」Nvidiaのアクセラレーテッド・コンピューティング部門のVP兼GMのIan Buck氏は当時このように述べていました。
「確かに、我々は以前からArmに多くの関心を寄せていたが、最近かなり上向きな話題があった。欧州委員会とEPI (= European Processor Initiative)が、Armが欧州でのエクサスケールで最も適したCPUアーキテクチャになるであろうといった発表があった。Armにヨーロッパ地域での明るい未来があることは明らかです。また理研のPost-Kシステムにおいても、Armは日本のエクサスケールシステムのCPUとして採用されている。」
「Nvidiaにとって、我々はArmが転換点に到達したと感じており、成功に向けての手助けをしたいと思っている。」
Nvidiaは、今回の買収可能性に関するニュースが発表される以前に、2,570億ドル相当の価値を持っていますが、最近は支出が急増しています。今年、69億ドルでのMellanox買収完了後すぐにCumulus買収のニュースが続きました。
しかし、Armの買収となると、これは最も大きな動きであり、また、半導体史上最大の取引となるでしょう。2018年のBroadcomによる1億1,700万ドル規模のQualcommの敵対的買収の試みは、ほぼ過去最高値を記録しましたが、国家安全保障上の理由から米国政府によって阻止されました。
別のオーナー
また、ある時点で売却について話し合っていたのは、今年ArmベースのMacを発表したAppleでした。
ArmはAppleにコンタクトし、予備的な協議を行ったと伝えたが、結果的にそのアイデアに関する更なる議論はなされませんでした。
アームの長さ
ソフトバンクがArmを買収した際、事業の多くは独立して運営すると約束していましたが、今回の動きに先立ち、同社はArmを再編成しました。
ソフトバンクはそれほど成功していないIoTソフトウェア部門の分離を行い、徐々に高まる完全オープンソースのRISC-Vアーキテクチャの圧力と共に、増大する米中貿易戦争の犠牲となっているコアチップ設計の取り組みに賭けるべきであると述べています。
Armはまた、ライセンス保有企業に対し更なる支払いを求める圧力をかけ始めた、とロイターは今月初めに報告しました。一部の価格は4倍に跳ね上がったようです。
ソフトバンクは会社全体を所有していますが、今四半期は同社投資部門であるSoftBank Vision Fund保有となっています。CEOの孫正義氏が率いるこのファンドは、3月31日時点でUber、WeWork、OneWebなどの企業への投資に関し、173億ドルの損失を被っていました。また、ドイツのフィンテック企業Wirecardへの10億ドルの投資も失う可能性があります。
Armで、ソフトバンクはいくつかの損失を取り戻す機会を見出したかもしれません。New Street Researchのアナリストは、来年上場する場合、同社を約440億ドル、2025年には680億ドルと評価しています。
Data Center Dynamics
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