OVHcloud、Scope3の排出量を顧客へ報告

ハードウェアの再利用スキームとハイブリッド冷却技術について情報を提供

フランスのサービスプロバイダーOVHcloudは、今夏より顧客のクラウド利用によって発生する Scope 3排出量の完全なレポートを提供することになりました。

Scope 3 排出量の算出には、OVHcloudの製造やエネルギー使用による排出を含め、各顧客が利用するクラウドプロバイダーのサービスによって生じるすべての二酸化炭素排出量が含まれます。今夏、ベアメタルの顧客にまず提供し、2023年末にはプライベートクラウドの顧客に、2024年中にはパブリッククラウドの顧客にレポートを提供する予定です。

Scope 3 の排出量は、企業のサプライチェーンから発生するもので、EUやその他の当局への報告でますます求められています。

OVHcloudの環境製品マネージャーであるAurore Vaudatinは、今週、リール近郊のクロワにある同社の工場で行われたプレスイベントで、DCDに次のように語っています。「私たちはゆりかごから墓場まですべての環境影響を考慮しています。当社の垂直統合型モデルのため、サーバーのすべてのコンポーネントを把握しており、各コンポーネントの製造上の影響を加えることができます。また、サーバーが使用する電力についても、各国の電力源構成に基づく排出係数を考慮しています。」

その結果、AmazonやMicrosoft Azureといった競合他社が提供するものよりも包括的なScope3排出量レポートが得られると、OVHcloudは述べています。「彼らは、計算が非常に難しい製造の影響を考慮していません。」

今回の訪問で、OVHcloudは、同社の冷却技術や循環型経済への取り組みについても説明しました。同社は、クロワでサーバーラックを自作し、データセンターの拠点に出荷しています。また、引退したハードウェアはクロワの工場に返却し、評価、テスト、再利用しています。OVHcloudで将来的に役割を果たさない使用可能なコンポーネントは、セカンドライフ機器として売却され、使用できなくなった機器は、原材料回収のために資産廃棄に回されます。

同社は、サーバーの40%にセカンドユーザーコンポーネントが含まれていると推定しており、2025年までに埋立地への廃棄物をゼロにすることを約束しています。OVHcloudのOCP対応サーバーには、以前Facebookのデータセンターで使用されていた中古品も含まれています。

OVHcloudは、2021年に発表したハイブリッド冷却技術の詳細を説明しました。この技術は、すでにある水冷循環システムを使用してCPUとGPUを冷却し、サーバーブレードを密閉ユニットに入れ、誘電冷却材が対流によって他の部品を冷却するものです。

既存の水冷循環システムは、浸漬冷却液の熱を除去するため、ブレードには2つのプラグ式水冷コネクターしかなく、同社の水冷インフラの最新版に接続されます。

2021年にストラスブールのSBG2データセンターが焼失した火災について尋ねられたOVHcloudの広報担当者は、DCDに対し、同社が原因について話すことはまだ禁じられていると述べました。

OVHcloudが最近、火災でデータを失った2社の顧客に対して25万ユーロの損害賠償を命じられたことを認めた上で、同社の広報担当者は、これらの事件や、2022年に140人の顧客を代表して提起された集団訴訟など、まだ審理されていない他の事件についてこれ以上コメントすることを避けました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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