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Macを単にラックに実装しただけではない【特集】

Appleによるコントロール

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ラックマウントされたiMac Pro – MacStadium

そこに、MacStadiumのビジネスモデルにおける潜在的な最大の弱点があります。もちろんAppleの喜びには繋がるでしょうが。「我々はiMacの画面を実際に取り外し、内部コンポーネントのみをラックマウントする案についてAppleに提案しましたが、彼らは眉をひそめました。このような構成をAppleがサポートする事はないでしょう。」と、ビービ氏。

おそらく両社がまだアンバランスな関係性であり、Appleの方が力を持っている事は事実ですが、MacStadiumは恐れることは何もないと確信しています。Appleはエンタープライズ向けのインフラビジネスからは撤退しており、競合する事はありません。MacStadiumの存在により、企業はアプリを開発し、Safariでテストを行うことが容易になります。この事を理解したのか、Appleは2018年10月のイベントではMacStadiumの存在を強調していました。

「Appleがどれだけ私たちをサポートしてくれるのか、または認めてくれるのか?という疑問が常にありました。多くのお客様でさえ、MacStadiumまたはMacをホスティングする会社の利用をためらっています。Appleは、非常に厳格な企業ライセンス契約を締結しています。しかし現在、彼らは私たちがしていることを正確に認識しており、そして受け入れられていることも確認できています。」

MacStadiumの多くのスタッフにとって、イベントのステージ上でのランクトン氏の発言は驚きでした。「Apple社内と同様、我々も何もAppleからの(新製品に関する)事前情報は知らされていませんでした。」「Appleの組織内にも前もっての情報を知っている人間は1人か2人程度しか存在しません。もちろんMac miniの写真を撮るために我々のデータセンターに訪れたカメラクルーでさえも。」

今年6月に開催されたAppleの開発者イベント(WWDC)でも、例によって秘密はベールに包まれていました。「Appleチームからの事前のヒントも一切ありませんでしたよ。」と、カンファレンスが終わった数日後にランクトン氏はDCDに語っていました。イベントで、Appleは新しいMac Proを発表しました。これは数年ぶりのメジャーチェンジです。

最大28コアと1.5テラバイトのメモリを搭載したXeon CPU、更にAMD Radeon Pro Vega II GPUを搭載した新しいMac Proは、まさに高価な長方形の形をした獣のようです。

「おそらく最上位モデルは35,000ドル(約370万円)以上の費用になるかと予想されます。」とランクトン氏は言います。「これは明らかに非常に印象的なマシンです。」

また、Appleが設計した4Uラックマウントを可能とするバージョンも発表されました。では、MacStadiumはどうなるのでしょうか?「だれでもMac Proをデータセンターに設置できるようになります。」とランクトン氏は言います。

「私たちが際立っているのは、Mac Proを構成する方法を既に知っており、それを展開するサプライチェーンを持ち、Macの専門知識を持つスタッフを抱え、そしてMacをクラウド上に展開する方法を知っていることです。それにより顧客はMacをただ単にデータセンターに置くだけではなく、真にそのインフラをコードとして扱うことが出来るようになるのです。」

ラックを超えて

同社は、今年の後半にMac Proを入手するまで(その他の全ての人々と同じく)、そのラックマウント型システムに変更を加える必要があるかどうかを知ることはできません。「もし十分なネットワーク接続を提供可能な拡張モジュールがあり、電源モジュールが我々の冗長電源システムに接続できるようであれば、独自の処理を行う必要はないかもしれません。」とランクトン氏は言います。「しかし、単なるラックマウント型サーバーとエンタープライズ対応サーバーには大きな違いがあるのです。」

「ラックに入れることができる“長方形のもの”はすべて、それを実際に”エンタープライズ対応マシン“と呼ぶ為には完全な冗長性とサポート性が要求されます。したがって、我々はその為に必要なアップグレードを行うでしょう。」

同社はこの新システムの展開に関し一定の関心は持っていますが、同時に2018年にリリースされた全てのMacに影響するT2セキュリティチップの問題にも悩まされています。

Appleのカスタマイズ半導体チップであるT2は、LinuxやVMware ESXiを含むAppleが署名していないオペレーティングシステムの実行を禁止しています。

「またこれらのデバイスはいずれもVMware認定を受けていません。」とBeebe氏は述べています。「AppleとVMwareが過去に遡り、直接連携を取っていなかったためです。これを解決するために私たちはAppleを打ち合わせに連れて行こうとしています。これを成し遂げるには我々は仲介者を演じなければなりませんでした。」

これが、2013 Mac Proが依然として同社で最も人気のあるデバイスである理由です。

「VMwareをハイパーバイザープラットフォームとして最初から使用してきましたが、最近では、Ankaと呼ばれる新しいMac専用のハイパーバイザーをサポートし、Orkaが次に来ます。」

Orkaは、 Docker と Kubernetes テクノロジーに基づいて開発されたMacインフラストラクチャ専用の仮想化レイヤーですが、現在は彼らの社内でのみ利用しています。「これの真の目的は、すべてのアプリのビルドをXcodeで行うというAppleの要件に適合しつつ、見た目も使い心地もできるだけ汎用的なインフラストラクチャを必要とするユーザー向けの環境を構築するという事です。」とランクトン氏は言います。

「私たちがやりたいことは、お客様がそのインフラストラクチャ・レイヤを可能な限り抽象化できるようにすることです。これにより、iOSやMac用アプリのビルドとテストが、Androidやバックエンドサーバーコードなどとますます同じような環境で行う事ができるようになるのです。」

「我々の顧客は、Macをただラックに入れるだけでなく、Macをクラウドに入れることを望んでいるのです。」

Data Center Dynamics

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