HUAWEIのCFO、カナダで逮捕

イギリスBTは、HUAWEI製品の排除を開始

カナダは、中国のHUAWEI社の最高財務責任者であり副会長であるMeng Wanzhou(孟晩舟)氏を、イギリスの貿易制裁の法を犯した罪で逮捕しました。(2018/12/1)
カナダの現地紙The Globe and Mailの報道では、孟氏は、アメリカのイランに対する制裁を、大規模な遠距離通信技術を使って回避する手助けをした罪に問われており、アメリカは彼女の送還を求めているということです。
孟氏は現在46歳で、HUAWEI社の創設者Ren Zhengfei(任(じん)正非(せいひ))の娘でもあります。

中国は孟氏の釈放を要求

– Sebastian Moss/DCD

カナダの司法省の広報担当者イアン・マクラウド氏はThe Globe紙の取材の中で、
「アメリカは彼女の送還を要求しています。保釈聴聞会は金曜日に予定されています。事実上の報道規制があるので現時点でこれ以上詳細を話すことは控えさせていただきます。報道規制は孟氏によって求められたものです」と語りました。

HUAWEI社は声明を出し、こう表明しました。
「先日、わが社の最高財務責任者である孟晩舟がカナダでの航空機の乗り継ぎ時に、アメリカに代わってカナダ当局に一時的に拘留されました。アメリカはニューヨーク東地区の連邦地方裁判所において未特定の容疑で孟を告訴するため、カナダ当局に彼女の身柄の送還を求めています。」
「わが社は彼女の容疑に関してほとんど情報を得ておらず、彼女の犯罪行為に関して認識していません。わが社はカナダとアメリカの司法が最終的に公正な判断を下すことを信じています。Huaweiは、国際連合やアメリカ合衆国、EUで適用されている輸入制限や制裁目的の法や規則を含め、効力のある範囲内の全ての法や規則を遵守しています」

HUAWEI社には長い間、中国政府と強い結びつきがあるのではないか、貿易制裁の回避を手助けしているのではないかという疑惑がありましたが、同社はその疑惑をこれまで否定してきました。

HUAWEI社公認の下出版された本‘Huawei:Leadership,Culture,Connectivity’の中で、その著者はHUAWEI社が批判される、表沙汰にはされない理由について推測しています。
「2007年以来、HUAWEIは西欧のメディアから誤った見解によるとめどないバッシングをうけてきました。一番よく言われるのは、わが社の実態や、イラクやイラン向けに販売している製品の売り上げの実績が不明で、わが社がアメリカの国家安全保障を脅かしているということです。」

孟氏にかけられた容疑については現時点で不明であり、報道規制によって事件の詳細を知ることが難しくなっています。
4月には、ウォール・ストリート・ジャーナル紙がアメリカの司法省がHUAWEI社がイランに対する制裁を妨害していないか調査していると報じていました。

孟氏は以前、HP社製の製品をイランへ販売しようとしたといわれているスカイコムの取締役会役員でもありました。
そのHP社製の製品の見積書には、最低13ページにわたって「HUAWEI社の機密事項」と記された情報も含まれており、HUAWEIのロゴが載せられていました。

中国外務省の報道官Geng Shuang(耿爽(こうそう)氏は、オーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」の取材の中で、中国は未だ逮捕の理由についての説明を受けていないと話しました。
彼は取材の中で「正当な理由のない拘留は、拘留された人間の人権を侵害しています」と主張しました。

カナダの元中国大使であるデイヴィッド・マルロニー氏はThe Globe紙にこう話しました。
「これは非常に重大な事件です。孟氏は生まれながらにして、中国社会における特権階級の一員という立場にあるのですから。
イランに対する制裁を妨害している容疑で彼女を逮捕したことは、カナダは中国の怒りに触れても構わないという明確な意思表示としてとらえられます。つまり、中国ではカナダがドナルド・トランプにこびへつらっていると報道されるでしょう。
彼女が逮捕されたことで、これまでHUAWEI社が欧米諸国に対して継続してきたインフラ企業としての信頼関係を築き上げる努力も、致命的に傷つけられてしまう恐れがあります。」

孟氏逮捕は、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が、両国間での貿易関税の引き上げを一時的に延期する交渉をしている、その最中に行われました。そのたった数週間後には、複数の報道機関が、アメリカがHUAWEI社の製品を使用しないよう呼び掛けていることを明らかにしました。

今回、アメリカ政府はHUAWEI社に対してかなり高圧的な姿勢をとっていますが、以前からHUAWEI社はアメリカと非常に険悪な関係にありますー2012年には、アメリカの下院へ提出された報告書には、HUAWEI社がアメリカの「国家安全保障に対する脅威」となりうると記され、HUAWEI社は国際的なインフラ整備の計画に参与することを制限されました。

‘Huawei:Leadership,Culture,Connectivity’という本の中で、著者の一人が2012年に行われたHUAWEI社の創設者Ren Zhengfei(任正非)とアメリカの実業家との対談の内容を次のように詳細に記しています。

任氏は「アメリカの人々は時に保守的すぎます。自分たちの目の前にあるものほとんどすべてを政治的にとらえようとするのです。対してイギリスの人々は、かなり開放的です、ええ、アメリカの人々よりはるかに開放的です。」

しかし、6年たった今、状況は変わろうとしているように思われます。
イギリス紙「ファイナンシャル・タイムズ」は、世界最大の通信会社である英国BTグループが、2年以内に4G通信網からHUAWEI製品を排除すると報じました。BTグループは、HUAWEI社が5G通信網で製品を供給することも禁止する予定です。

同グループは、アンテナ塔や通信塔など、通信網のなかでもそれほど中核的な部分ではないと思われるところでは、HUAWEI社の製品を使用し続ける方針です。
孟氏の逮捕が発覚した後も、イギリス紙「The Register」に対してBTグループは
「2016年にEE社を買収した後から、我々は2006年以来通信構造の基幹の一部として機能していたHUAWEI社の製品を、3Gと4Gそれぞれの通信網から排除し始めまていました。我々は現在の5Gのインフラの提案依頼書においても同様の方針を採用しています。結果的には、HUAWEI社の製品は我々の5G通信網で使用する製品の候補の中には含まれていません。」
とコメントしたとあるように、今回の事件についてはあまり深刻には捉えませんでした。

認知されたHUAWEI社の製品の安全性の問題に対処するため、イギリスはHUAWEI社を調査し、HUAWEI社の安全性にどのくらい問題がありうるのかを確認するため2010年にthe Huawei Cyber Security Evaluation Centre(HCSEC)を設立しました。
今年の年間報告の中で、HCSECはHUAWEI社の製品について、イギリスの通信網で「長期的に使用すれば安全性を損なう危険性が高まる」と発言しましたが、HUAWEI社が故意に行っていることよりも、HUAWEI社の「製品開発の過程における技術的な問題」に重点を置いて非難しているように思われました。
HCSECは、HUAWEI社と、National Cyber Security Centreで働いている人たちの合同会社です。

– Data Center Dynamics
原文はこちら

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